ひとつの建設会社に一括で施工を委託するのではなく、個々の専門技術を持った様々な職人達を束ねることで、自前に施工チームを編成した。一つひとつの物のつくり方を問い直し、さらに異なる物づくりの回路と接続させることで、新しい制作の地平を開くことに主眼を置いている。このような設計思想は、人々の眼差しが生産の結果としての「製品」にしか注がれず、生産の過程や技術がブラックボックス化し、物づくりの可能性が狭められてしまっている現代に対する批評的態度でもある。

この建築では、「西陣織」とFRPの最先端技術を接合することによってつくられた、光を透過する西陣織FRPガラス「NISHIJIN reflected」をはじめ、「西陣織」から左官、鍛治、箔貼り、ウィルトンカーペット、表具、家具に至るまで、多様な工芸技術がつながり合い、ひとつの場において連帯している。

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金箔貼り

躯体に溶接された3mm幅のステンレス・フラットバーに、注意深く養生を行いながら、吹けば飛ぶほど繊細な金箔を手で貼り付けていく。

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研ぎ出し

白セメントと緑色をした大理石の一種である蛇紋石を混ぜてコテで塗った後、磨きあげる左官仕上げ。光沢のある研ぎ出しの質感と版築の荒々しい表情が対比をなしている。

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版築

杉板の型枠を組み、赤土、中塗り土、真砂土といった三種類の土を10cmの厚さ毎に突き固めることによってつくられる。版築を突き固めた後に型枠を外し、仕上げとして表面の吸水性を抑えるため樹脂を吹き付ける。

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墨漆喰

漆喰に墨を混ぜて塗りあげる、伝統的な左官工法のひとつ。左官塗の中でも難易度が高く、職人の技術が問われる仕上げである。

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石貼り

15cm幅に整えられた玄昌石は、床一面に敷き詰められるウィルトンカーペットの柔らかい質感を引き締めるべく据付られ、床の端部を縁取る。