CONSTRUCTION NO. 1 ENSEMBLE

近代以前に装飾が担ってきた美の力を現代に蘇らせるために、モダンデザインが発明した手法の一つ「コンストラクション」を用いて、家具を設計した。楕円形の食卓と6脚の椅子で構成されるダイニング・シリーズ、ソファとローテーブルで構成されるラウンジ・シリーズは共に『アンサンブル』と名付けられ、三つの材料によって即物的に構成されている。

テーブルの天板には、透明性のある鉱物が結合してできた石英石を用いており、ひんやりとした乳白色の滑面には、グレージュ色の大きな柄が流れるように走る。真鍮の脚はLアングルとフラットバーを組み合わせて制作し、6mmの隙間を設けたサンドイッチ状の構造が、すらりとした金属の形状を際立たせる。椅子の座面は、抽象的な表情を持つ西陣織のテキスタイルで包み込み、石や真鍮といった相異なる素材と均衡させることで、個性の強い一つひとつの部分を有機的な全体(アンサンブル)へとまとめあげている。

発表
2021年
用途
家具
書籍掲載
『LAB express』vol. 4「家具というユートピア」